読売新聞

KISEKI-02

目指せ! 最速王!!

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スペシャルコーチに100m元日本記録保持者の朝原宣治さんが就任。夢に向けてスタート!スペシャルコーチに100m元日本記録保持者の朝原宣治さんが就任。夢に向けてスタート!

「誰よりも速く走りたい!」そんな思いを持って、地元のクラブで陸上競技に取り組む桜井礼大くん。「3D2Y to 2020 KISEKI」を知り、自己ベスト(12秒95)を更新し、全国のライバルに勝ちたいと応募してくれました。

5年生の時には県大会で優勝。しかし、全国大会では高い壁にはね返されました。153㎝(2020年2月時点)と小さい体で奮闘していた桜井くんでしたが、学年が上がると県内でも体の大きなライバルたちに抜かされ、悔しい思いを…。

桜井くんの夢を叶えるため、世界の舞台で活躍され100m元日本記録保持者の朝原宣治さんがスペシャルコーチに就任。月1回のペースで指導を行っていきます。

去る昨年12月からトレーニングを開始。2020年1月分と合わせてレポートします。

朝原コーチがトレーニング場所に選んだのは、埼玉県内の公園。園内には広大な芝生の広場や小高い丘があります。競技場での実践的な練習を想像していた桜井くんは少し拍子抜けした様子。

園内の器具を利用したストレッチが終わると、2人で公園を1周ジョギング。緊張していた桜井くんも戻ってくるころには笑顔が見られました。

体も温まったところでいよいよスタート。芝生の上を大股で走ったり、片足ジャンプなど、地面からの反発を感じる練習を行いました。

コツをつかむのが上手な桜井くん。器用にこなしていく姿を見た朝原コーチも「タイミングの取り方や体の使い方が上手」とほめます。

芝生での練習が終わると、丘の下まで移動して坂道ダッシュが始まりました。桜井君の後ろから上り終えた朝原コーチは、デコボコの地面や所々に転がる小石を見て「いいね」と一言。

その意図を聞くと、早く走るために大切なポイントは「体のバランス」で、足元が不安定な道を走ることで自然とバランスが鍛えられると教えてくれました。

上り坂の次は下り坂です。上りでは常に力を入れ続けないと進んでいかないため筋力が鍛えられ、下りでは体が勝手にスピードに乗るため、力まずに進んでいく感覚が身につきます。

下り坂では朝原コーチも自身のトレーニングを兼ね、本気の走りを披露。47歳迎えた現在も100mを11秒前半で走る姿は現役のアスリートそのもの。間近で駆け抜ける迫力は凄まじく、179㎝の長身がより大きく見えました。

辺りが暗くなってきたところで入念にストレッチして終了です。少し膝を痛がっていた桜井くんは部位ごとの伸ばし方を教わり、効果的な食事のとり方なども質問していました。

練習後のミーティングで「小学生で筋力もまだないので、これから基礎を固めていきたい」と話す朝原コーチ。球技など色々なスポーツにチャレンジした方が良いともアドバイス。朝原コーチ自身も本格的にスポーツに取り組んだのは中学生でのハンドボールだそう。(ちなみに小学生時代の習いごとは書道とエレクトーン、意外です!)

桜井くんも教わったことを自主練習で取り組みたいと力強い決意をみせてくれました。

最強のコーチと出会った桜井くん。「最速王」の夢実現に向けて、挑戦が走り出しました!

桜井くんからのメッセージ

小学3年生の時に、「しらこばと陸上クラブ」で陸上を始めました。

短距離では埼玉県で1番になることができましたが、全国では体の大きなライバル達に勝つことができませんでした。「3D2Y to 2020 KISEKI」を通して、自分に足りないものを学び成長したいと思っています。自己ベスト12秒95を大幅に更新し、11秒台で中学生の大会で優勝することが目標です。

スペシャルコーチプロフィール

朝原宣治コーチ

朝原宣治コーチ

陸上競技100m元日本記録保持者。大阪ガス所属。

自身4度目の出場となった北京2008オリンピック4×100mリレーで銀メダルを獲得。2010年に次世代育成を目的として陸上競技クラブ「NOBY T&F CLUB」を設立。同クラブはDaigasグループの地域貢献活動の一環でもあり、引退後も自身のキャリアを社会に生かすチャレンジを続けている。

怪我を乗り越えろ!!! 悔しさをバネに

3回目の特別トレーニングは、桜井くんが参加している陸上クラブのリレーメンバーと一緒に行いました。卒業を控え、最後の合同練習になるはずでしたが、数日前に足を怪我してしまった桜井くんは痛みが残っていたため、無念のドクターストップ。みんなが練習している様子を悔しそうに見つめながら、朝原宣治さんの指導に耳を傾けていました。

練習場所を提供してくれた帝京科学大学のグラウンドを訪れた朝原コーチは、「大きいね!本当に小学生?」とリレーメンバーの体格に驚きつつ、素早くトレーニングウェアに着替えると練習がスタートしました。

初めはフレキハードルまたぎ。腰を落とさず、体を支える軸足を前に向けてまたぐのがポイントです。柔軟性を生かしてハードルを越えていく女子メンバーと対照的にふらつく男子メンバー。様子を見ていた朝原コーチは「女子の方が上手だな!」と、男子メンバーを鼓舞します。

芝生に移るとクモ歩きです。手と足の連動を意識しながら四つん這いの姿勢で全身を使って進みます。難なくこなしていた子ども達でしたが、同じ動きで後ろに進む練習になると全員が大苦戦。頭のイメージと体が一致しないのか上手くできません。朝原コーチは「前に進んでから後ろに戻るとコツがつかめるよ」と実演しながら教えます。

「走りで大切にしているのが股間節」と語る朝原コーチ。つま先の蹴り返しといった小さな動きではなく、足の上部(股関節や骨盤)の大きなエンジンを使える走りをした方が良いと説明をし、ランジ(足を前後に大きく開き、膝を曲げる動き)や足上げなど、股関節を意識的に動かす練習を続けていきます。

練習開始から30分以上経過したところで、走る練習が始まりました。まずは早歩きから走る動作に移行する練習です。体のポジションをキープしたままスムーズに移行するのが理想ですが、早く歩こうとすると重心が下がってしまう子ども達。朝原コーチは「7、8割の力でいいから、姿勢を大事に」と声をかけます。

再びトラックに移ると、20m走った後、そのまま20m大股で弾み、そしてまた走りだすといったリズムを途中で変える練習です。神経伝達能力を鍛えるのに効果的で、朝原コーチは自身の練習でも取り入れています。その後は子ども達の希望もあり、スタート練習を繰り返し行いました。

練習の最後は、男子チーム、女子チームと朝原コーチが加わった大人チームによるリレー対決。3月の大会が中止になってしまい、これがチームメイトと走る最後の機会です。スパイクに履き替えた子ども達は入念にバトン練習を行い、怪我のため参加できない桜井くんもアドバイスを送ります。その様子を見た朝原コーチは「ガチだな」と苦笑い。みんなで円陣を組んで気合を入れると、いよいよスタート。合図とともに勢いよく飛び出した3チームは抜きつ抜かれつの大接戦。アンカー勝負となり、抜け出した男子チームを朝原コーチが猛追したところがゴール。朝原コーチはわずかに及ばず、男子チームが勝利しました。力一杯走りきった子ども達は晴れやかな表情です。

走り終わった子ども達一人ひとりに歩み寄り、握手を交わした朝原コーチは「みんなのやる気をすごく伝わってきた。中学に進んでも夢に向かってチャレンジを続けて欲しい」と語りかけ、特別トレーニングを終えました。解散後、桜井くんとも今後の練習方針についてミーティング。まずは怪我を直すこと優先しつつ、次回の練習で元気に再会する事を約束しました。

スペシャルコーチプロフィール

朝原宣治コーチ

朝原宣治コーチ

陸上競技100m元日本記録保持者。大阪ガス所属。

自身4度目の出場となった北京2008オリンピック4×100mリレーで銀メダルを獲得。2010年に次世代育成を目的として陸上競技クラブ「NOBY T&F CLUB」を設立。同クラブはDaigasグループの地域貢献活動の一環でもあり、引退後も自身のキャリアを社会に生かすチャレンジを続けている。

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